「お寺」と「神社」の違い、お寺とは?神社とは?

日本を旅したり、街を歩いたりしていると、立派な門構えや美しい建築様式の「お寺」や「神社」によく出会いますよね。どちらも神聖な場所であることは分かるけれど、「具体的に何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?
鳥居があるのはどっち? 手を叩いてお参りするのは? そもそも、どんな神様や仏様がいるの…?
似ているようで全く異なる、お寺と神社。その違いを知れば、日本の文化や信仰への理解が深まり、参拝がもっと興味深く、意義深いものになるはずです。
今回は、お寺と神社の基本的な違いから、見分けるための具体的なポイント、そして日本の信仰のユニークな背景まで、分かりやすく解説します!
根本的な違い:信じている「宗教」が違う!
お寺と神社の最も大きな違いは、その根底にある「宗教」です。
- 神社 (Jinja):神道 (Shintō) に基づく施設です。
- 神道とは? 日本古来の自然崇拝や祖先崇拝を基盤とする、日本固有の宗教。八百万(やおよろず)の神々と呼ばれるように、山、川、木、岩などの自然物から、歴史上の偉人、家の祖先まで、あらゆるものに神様(Kami)が宿ると考えます。特定の教祖や経典は持ちません。
- お寺 (Otera):仏教 (Bukkyō) に基づく施設です。
- 仏教とは? インドで生まれた釈迦(しゃか/ブッダ)を開祖とする宗教。悟りを開き、輪廻転生から解脱することを目指します。日本には6世紀頃に伝来し、様々な宗派に分かれて発展しました。
この宗教の違いが、祀られている対象、建物、儀式など、様々な面に表れてきます。
見分けるポイントはココ! お寺と神社の違い一目でわかるチェックリスト

実際に訪れた際、どこを見ればお寺か神社か見分けられるのでしょうか? いくつかのポイントをご紹介します。
特徴 | 神社 (Shinto Shrine) | お寺 (Buddhist Temple) |
宗教 | 神道 (Shintō) | 仏教 (Bukkyō) |
祀られている対象 | 神様 (Kami) - 自然神、氏神、偉人など | 仏様 (Hotoke-sama) - 釈迦如来、阿弥陀如来、観音菩薩など |
管理・仕える人 | 神主 (Kannushi), 巫女 (Miko) | お坊さん (Obōsan), 僧侶 (Sōryo) |
入り口の門 | 鳥居 (Torii) - 形状は様々だが柱が2本で上が繋がる | 山門 (Sanmon) - 寺号が書かれた額があったり、屋根付きの門 |
守護像 | 狛犬 (Komainu) - 獅子や犬に似た一対の像 | 仁王像 (Niō-zō) - 筋肉隆々な一対の恐い顔の像(金剛力士) |
お参りの作法 (基本) | 二拝二拍手一拝 (2回お辞儀、2回手を叩く、1回お辞儀) | 合掌 (Gasshō) (静かに手を合わせる)、お線香をあげることも |
建物や施設の名称 | 〜神社、〜神宮、〜大社、〜宮 | 〜寺、〜院、〜庵 |
よくある行事・役割 | お祭り、初詣、七五三、結婚式、お祓い | お葬式、法事、お盆、座禅、写経、仏教の教えを学ぶ |
その他シンボル | 注連縄 (Shimenawa), 御神木 (Goshinboku), 絵馬 (Ema) | 仏像 (Butsuzō), 鐘 (Kane), 塔 (Tō), 墓地 (Bochi), 卍 (Manji) |
※注意: 上記は一般的な特徴であり、例外もあります。特に歴史の古い場所では、後述する「神仏習合」の影響で、両方の要素が見られる場合もあります。
なぜ混同しやすい? 日本独自の「神仏習合」の歴史
「でも、お寺の中に鳥居があったり、神社っぽい建物があったりするけど?」
そう感じることがあるかもしれません。それは、「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」という、日本独自の歴史が関係しています。
仏教が日本に伝わった際、元々あった神道の神様を排斥するのではなく、「日本の神様は、仏様が人々を救うために仮の姿で現れたもの(権現 ごんげん)」といった考え方が生まれ、両者が融合していきました。そのため、一つの敷地内にお寺と神社が共存したり、互いの要素を取り入れたりする時代が長く続いたのです。
明治時代に入り、政府の方針で神道と仏教をはっきり分ける「神仏分離令」が出されましたが、文化や人々の意識の中には、今もその名残が見られます。お寺と神社の両方にお参りする習慣なども、この歴史的背景があるからこそ自然に行われているのですね。
日本を代表する! 有名な神社・お寺をご紹介
最後に、日本国内で特に有名な神社とお寺をそれぞれ3つずつご紹介します。これらの場所を訪れれば、それぞれの特徴や違いをより深く体感できるでしょう。
【有名な神社】

- 伊勢神宮(いせじんぐう) [三重県] 日本の最高神とされる天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀る内宮(ないくう)と、豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀る外宮(げくう)を中心とした、日本で最も格式高い神社。「お伊勢さん」と親しまれ、全国から参拝者が絶えません。
- 出雲大社(いずもおおやしろ/いずもたいしゃ) [島根県] 縁結びの神様として絶大な人気を誇る大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を祀る神社。旧暦10月(神無月)には、全国の神々が出雲に集まると言われ、この地では「神在月(かみありづき)」と呼ばれます。巨大なしめ縄は圧巻です。
- 伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ) [京都府] 全国に約3万社ある稲荷神社の総本宮。商売繁盛・五穀豊穣の神様として信仰を集めています。朱色の鳥居が延々と連なる「千本鳥居」は、幻想的で海外からの観光客にも大人気です。
【有名なお寺】

- 浅草寺(せんそうじ) [東京都] 都内最古のお寺として知られ、「浅草観音」の名で親しまれています。本尊は聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)。雷門(風雷神門)や仲見世通りは、国内外からの観光客で常に賑わっています。
- 清水寺(きよみずでら) [京都府] 「清水の舞台」で有名な、京都を代表するお寺。本尊は千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)。音羽の滝や美しい庭園など、見どころが多く、四季折々の景色が楽しめます。世界遺産にも登録されています。
- 東大寺(とうだいじ) [奈良県] 奈良時代に聖武天皇によって建立された、華厳宗(けごんしゅう)の大本山。「奈良の大仏」として知られる盧舎那仏(るしゃなぶつ)を本尊とし、その巨大さと荘厳さは圧巻です。南大門の金剛力士像も必見。こちらも世界遺産です。
まとめ:違いを知って、日本の心を深く味わう
お寺と神社、それぞれの違いを知ることで、何気なく通り過ぎていた風景にも新たな発見があるはずです。
神道の神様は、私たちの身近な自然や生活の中に息づき、仏教の仏様は、苦しみから解放される道を示してくれます。どちらが良い・悪いではなく、それぞれが日本の精神文化を豊かに彩ってきた大切な存在です。
次に寺社を訪れる際は、ぜひ入り口の門や祀られている対象、人々の参拝方法などに注目してみてください。その違いを感じながらお参りすることで、日本の多様な信仰のカタチと、そこに込められた人々の祈りの心に、より深く触れることができるでしょう。